日本透析医学会雑誌
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Carbamazepine (テグレトール®) による薬剤性赤芽球癆をきたした透析患者の1例
山田 和弘久永 修一宮本 恵子加藤 ふみ栗林 忠信田辺 誠喜清山 和昭藤元 昭一江藤 胤尚
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1999 年 32 巻 1 号 p. 59-62

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抄録

症例は66歳男性, 血液透析歴17年 (原疾患: 慢性糸球体腎炎). 脊柱管狭窄症による腰痛, 歩行困難に対しcarbamazepineの投与を開始した. 開始2か月目よりエリスロポエチン不応性の貧血が進行した. 網状赤血球は著減 (2‰) しており, 骨髄穿刺検査で赤芽球系細胞をほとんど認めず, 赤芽球癆と診断した. 原因としてcarbamazepineによる薬剤性赤芽球癆を疑い, 同薬剤を中止した. 2週後より網状赤血球の増加, 貧血の改善を認め, 骨髄穿刺検査でも赤芽球系細胞の増加 (1.0%→39.6%) を確認した. 薬剤性赤芽球癆は稀な疾患であり, 今までに透析患者での報告例は我々の調べた限りではみられていない. 近年, 種々の合併症を伴う透析患者が増加し, 各種薬剤が使用される頻度が高くなっており, エリスロポエチン不応性の貧血に際しては, 薬剤性赤芽球癆も考慮される疾患の-つと考えられた.

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