日本透析医学会雑誌
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32 巻 , 1 号
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  • 日本透析医学会統計調査委員会
    1999 年 32 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1997年末の日本透析医学会の統計調査は3,035施設を対象に実施され, 3,026施設 (99.70%) から回答が得られた. 1997年末のわが国の慢性透析患者数は175,988人であり, 昨年末に比べて8,796人 (5.3%) の増加であった. 1996年末から1997年末までの1年間の粗死亡率は9.4%であり, 昨年度と同水準であった. 透析導入症例の平均年齢は59.2 (±13.4, ±標準偏差) 歳と一層の高齢化が認められた. また, 透析導入症例における原疾患の割合は慢性糸球体腎炎が36.6%と昨年よりもさらに減少し, 糖尿病性腎症は33.9%とさらに増加した.
    1997年度は新たに高感度副甲状腺ホルモン (HS-PTH), 副甲状腺ホルモンC末端 (C-PTH), アルカリフォスファターゼ (ALP), 透析前血清カルシウム濃度, ビタミンD製剤の投与の有無, そして副甲状腺摘除術の既往の有無などについて調査された. ビタミンD投与状況に関する調査に回答のあった患者の45.3%にビタミンD製剤が投与されており, 2.7%の患者にビタミンDのパルス療法を施行されていた. 副甲状腺摘除術の既往に回答のあった患者の中の4.4%の患者が副甲状腺摘除術の既往があり, 0.2%の患者はpercutaneous ethanol injection therapy (PEIT) を施行されていた.
    生命予後解析では, 720pg/ml以上のインタクトPTH, 5%未満あるいは9%以上のヘモグロビンA1c, 7.43以上の透析前血液pH, 16mEq/l未満あるいは26mEq/l以上の透析前血液HCO3-濃度などが有意な死亡の危険因子であることが示された.
    手根管開放術の発生に関与する危険因子に関する解析では, 10年以上の長い透析歴, そして加齢が危険因子であることが示された.
  • 永野 伸郎
    1999 年 32 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 山田 敏生, 秋葉 隆, 平賀 聖悟, 丸茂 文昭
    1999 年 32 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    家庭血液透析の至適透析液供給方式を検討した. 透析液の作製方式には, 連続的に作製するon-line式と, あらかじめ必要量を作製しておくbatch式があるが, 経済性と透析液組成の安定性の面で優れているbatch式を我々は採用した. 次に透析液の循環方式として, recirculation式とsingle-pass式を理論的に比較したところ, 透析効率はsingle-pass式のほうが高く, 血液流量 (Qb) が200ml/分, 透析器のoverall mass transfer-area coefficientが600ml/分のとき, 尿素分布容積30lで1週間当たりのKT/V=3.6を達成するのに, 240分週3回透析で60lの透析液が必要と考えられた. これらの結果に基づき, Qb 200ml/分・透析液流量 (Qd) 250ml/分のsingle-pass batch式週3回透析を, 2名の男性腎不全症例で行い, Qd 500ml/分の通常の透析と比較検討した. ダイアライザーには1.6m2のポリスルフォン膜を用いた. 透析効率の評価には, 尿素窒素 (UN) とクレアチニン (Cr) の溶質動態をvariable-volume two-compartment modelを用いて解析した. 二種類の透析治療の間で, 平均溶質濃度に有意差はみられなかったが, Qdの減少により, UNの不均衡補正後のKT/V (KT/Ve) は0.943から0.852へ10%低下し (P=0.053), CrのKT/Veは0.709から0.676へ5%低下した (P=0.153). このUNのKT/Veの低下は, 240分透析では30分の透析時間の延長で代償可能と考えられた.
    家庭透析の透析液供給方式としてQd 250ml/分のsingle-pass batch式は, 充分実用に耐えるものと考えられた. タンク容量は300分までの透析時間の延長も考慮して, 週3回透析で約80lが必要と思われた.
  • 酒井 謙, 中西 努, 宮城 盛淳, 小林 みゆき, 水入 苑生, 小原 武博, 長谷川 昭, 坪井 久美子, 宮地 幸隆
    1999 年 32 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性, 慢性糸球体腎炎による末期腎不全にて血液透析を導入, 以後8年間順調に経過していた. 1995年10月, 11月, 96年1月の計3回にわたり二次性副甲状腺機能亢進症のための経皮的エタノール注入療法 (PEIT) を行った. その経過中の12月より労作時呼吸困難が出現し, 理想体重の減少にかかわらず心胸比の低下が見られず96年3月28日に当院に入院した. 入院後甲状腺機能亢進症 (Graves病) と判明し, thiamazole (メルカゾール®) 20mgの経口投与を開始した結果, 甲状腺機能の正常化とともに, 心不全が改善し退院した. なお本症例におけるthiamazoleの薬物体内動態の検討を行ったところ, 消化管での吸収の遅延, 半減期の延長およびその透析性が明らかになり, 透析患者でのthiamazoleの投与は透析後の減量服用が望ましいと考えられた.
  • 増永 義則, 滝沢 要, 安藤 康宏, 江原 浩司, 草野 英二, 浅野 泰
    1999 年 32 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者では腹水貯留が稀ならずみられ, 原因として心不全や肝硬変などによる体液過剰, 悪性腫瘍や結核, 細菌などによる腹膜炎等が多く, 甲状腺機能低下症による腹水は稀とされている. 我々は血液透析導入初期の72歳の女性患者で, 他の症状なく難治性の大量腹水をきたし, レボチロキシンナトリウムの補充療法により腹水が消失した甲状腺機能低下症の合併例を経験したので報告する. 本例はTSHが170μU/mlと著明に上昇した高度な甲状腺機能低下症だったにもかかわらず, 腹水以外の徴候に乏しく, 診断に苦慮した. 血液透析患者の症状が, 甲状腺機能低下症の症状と似ていることから診断は難しいが, 腹水貯留の鑑別に甲状腺機能低下症も考慮すべきであると思われる.
  • 湯浅 健司, 蘆田 真吾, 岡 夏生, 増田 秀作, 山本 晶弘, 寺尾 尚民
    1999 年 32 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例: 82歳, 男性. 慢性糸球体腎炎による腎不全にて1992年9月血液透析に導入. 1996年12月末より食欲不振が続き, 1997年1月16日歩行困難, 発熱, 経口摂取不可, 意識レベル低下したため入院となった. 胸部X-Pにて肺炎と診断し, 抗生物質投与と全身管理を行った. WBC 8,200, CRP 8.9mg/dl, CKが538IU/lと軽度上昇認めた. 頭部CTに異常はなかった. 1月17日LDH 737IU/l, CK 1,467IU/l, CRP 8.3mg/dlと, CKの著明な増加を認めた. ECG, 心エコーに心筋梗塞の所見はなかった. 1月20日, CK 109IU/lと正常化. 1月22日, 呼びかけに開眼する程度の意識状態であった. 患者は1991年より近医にてパーキンソン病にてlevodopa/carbidopa合剤を服用していたが, 入院1週間前より, levodopa製剤を服用していなかった. 意識障害, 発熱, 高CK血症からドーパミン中止による悪性症候群を考え, levodopa/carbidopa合剤の経口投与を開始した. 次第に意識レベルは上昇し, 2月末には入院前の状態に近いところまで回復した.
    パーキンソン・クリーゼの誘因として, (1) 抗パーキンソン病薬の中断 (2) 肺炎 (3) 低栄養状態が考えられた. 治療としては, 全身状態の改善はもちろんのこと, 極期においてもlevodopa製剤は可能な限り継続することが肝要と考えられた.
  • 藤田 知洋, 宮崎 公臣, 宮崎 良一, 森下 裕志, 江川 雅之, 岡本 久美, 荒木 英雄, 松田 哲久, 藤田 幸雄
    1999 年 32 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は34歳, 男性. 22歳の時に腎生検にてlgA腎症と診断され, 29歳からCAPD導入となった. 32歳からは自動腹膜透析に移行していた.
    1997年6月夜間, 透析中に特に誘因なく右腰背部痛を認め即時当院内科受診, 入院となった. 入院時の血圧は164/80であり, また採血検査上も以前と比べ貧血の進行は認めなかった. 腹部CTにて右腎破裂, 右後腹膜腔出血と診断した. 保存的に治療したが徐々に貧血の進行を認めたため, 同日緊急に経腰的右腎摘出術を施行した.
    病理検査ではACDKに伴う多発性の腎癌が認められ, その一部からの出血と診断された. 組織診断はpapillary type, clear cell subtype, G1, INF-α, pT1, pV0であった. また腎癌病巣は最大でも直径約2mmであり術前の画像検査では診断不可能と思われた. 術後は血液透析に移行し特に問題なく退院した. 術後1年間経過したが明らかな再発および転移を認めていない.
    透析患者の腎癌による後腹膜腔出血症例の報告は極めてまれである. 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 横田 直人, 藤元 昭一, 久永 修一, 佐藤 祐二, 木下 浩, 石原 旅人, 福留 慶一, 江藤 胤尚
    1999 年 32 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例はいずれも閉塞性動脈硬化症 (ASO) を合併した70歳代男性. 症例1は冠動脈造影 (CAG) 後13日目に肺梗塞と急性腎不全を合併した. alteplaseとheparinを投与されたが, 末梢循環不全によると思われる足趾のチアノーゼと動脈の触知不良が出現し, 術後18日目に多臓器不全で死亡した. 剖検所見にて両腎を含む多臓器にコレステリン結晶による塞栓性梗塞を確認した. 症例2は急性心筋梗塞後の経皮的冠動脈形成術 (PTCA) 中に脳梗塞を合併した. aspirinとwarfarinの投与を受けていたが, 徐々に腎機能悪化と両足底のチアノーゼが進行し, PTCA後78日目に血液透析に導入した. 症例3は腹部大動脈瘤に対するYグラフト置換術中に左下肢急性動脈閉塞をきたし, 塞栓除去術を施行した. 約3か月後に, 足趾にチアノーゼと網状皮斑を伴う疼痛が出現し, 歩行困難となった. lipo PGE1の静注とticlopidineの投与を継続していたが, 腎障害が徐々に進行し, 術後144日目に血液透析に導入した. 症例2と3は組織学的診断はなされていないが, 経過中に著しいLDHの上昇と好酸球増多を伴い, atheromatous embolismが強く示唆された. 3例とも動脈内への機械的操作の直後あるいは数日以内に急性動脈塞栓症を発症し, 強力な線溶療法や抗凝固療法, lipo PGE1製剤や抗血小板薬の投与がなされていたことから, 動脈壁粥腫潰瘍表面の防御血栓がはがれてコレステロール結晶の飛散を助長したものと考えられた. 腎不全は確実に進行したが, その原因としてコレステロール塞栓による腎梗塞と高レニン性高血圧による進行性糸球体内皮障害が考えられた. ASO患者では一次性にコレステロール塞栓症をきたすこともあり, ASOの症状悪化時にはコレステロール塞栓症を念頭におき, 抗凝固療法の適応に配慮し, 慎重に腎機能を経過観察する必要がある.
  • 山田 和弘, 久永 修一, 宮本 恵子, 加藤 ふみ, 栗林 忠信, 田辺 誠喜, 清山 和昭, 藤元 昭一, 江藤 胤尚
    1999 年 32 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1999/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性, 血液透析歴17年 (原疾患: 慢性糸球体腎炎). 脊柱管狭窄症による腰痛, 歩行困難に対しcarbamazepineの投与を開始した. 開始2か月目よりエリスロポエチン不応性の貧血が進行した. 網状赤血球は著減 (2‰) しており, 骨髄穿刺検査で赤芽球系細胞をほとんど認めず, 赤芽球癆と診断した. 原因としてcarbamazepineによる薬剤性赤芽球癆を疑い, 同薬剤を中止した. 2週後より網状赤血球の増加, 貧血の改善を認め, 骨髄穿刺検査でも赤芽球系細胞の増加 (1.0%→39.6%) を確認した. 薬剤性赤芽球癆は稀な疾患であり, 今までに透析患者での報告例は我々の調べた限りではみられていない. 近年, 種々の合併症を伴う透析患者が増加し, 各種薬剤が使用される頻度が高くなっており, エリスロポエチン不応性の貧血に際しては, 薬剤性赤芽球癆も考慮される疾患の-つと考えられた.
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