日本透析医学会雑誌
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維持透析患者における副甲状腺摘除術の腎性貧血に及ぼす影響
吉田 克法鳥本 一匡壬生 寿一谷 善啓中辻 史好田中 正己高尾 雅也影林 頼明大園 誠一郎岡島 英五郎平尾 佳彦
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1999 年 32 巻 2 号 p. 93-98

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抄録

背景と目的: 維持透析患者に認められる腎性貧血の原因は, 造血ホルモンであるエリスロポエチン (EPO) の相対的低下が主な原因であるが, 透析患者に特有な血中尿毒症性物質も重要な因子とされている. 今回, 手術を必要とする二次性副甲状腺機能亢進症症例に副甲状腺全摘除術後自家移植術 (PTx) を施行した症例についてPTxの貧血に及ぼす影響を検討した.
対象と方法: 二次性副甲状腺機能亢進症を合併した維持透析患者11例についてPTx後の血清副甲状腺ホルモン (高感度PTH: HS-PTH, C末端PTH: C-PTH, intact-PTH) 値, 貧血指標としての赤血球 (RBC) 値, 血中ヘモグロビン (Hb) 値, 網状赤血球数, さらに血中EPO濃度を経時的に観察し, さらにEPO製剤の投与量の変化とEPO製剤への感受性についても検討した.
結果: 11例全ての症例でPTx後に血清C-PTH値, HS-PTH値, およびintact-PTH値は著しい低下を示し, これに伴いRBC値, Hb値, 網状赤血球数は上昇を示した. 経過観察中において血清EPO値は変化が認められなかったが, 大部分の症例でEPO製剤の投与量は減少し, EPO製剤に対する感受性が増大したことを示した.
結論: EPO製剤にて反応性の低い維持透析患者の腎性貧血に対し, PTxが有効であると考えられた.

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