日本透析医学会雑誌
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Computed X-ray densitometry (CXD) 法による血液透析患者橈骨骨塩量測定の意義
小岩 文彦出浦 照國
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1999 年 32 巻 3 号 p. 167-173

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抄録

安定期血液透析患者53名 (男性20名, 女性33名, 平均年齢53歳, 平均透析期間9.3年) を対象にPTHで二群に分け, CXD法により橈骨骨塩量, ΣGS/Dを, DXA法により橈骨, 腰椎正面, 頭部骨塩量を12か月間隔で2年間経時的に測定した. さらに研究開始時のCXD法で測定した橈骨骨塩量とDXAで測定した各種骨塩量との相関を算出し, これからCXD法による橈骨骨塩量のもつ透析患者骨塩量評価上の意義を検討した.
CXD法による橈骨骨塩量は男女とも12か月以降有意に低下し, 低下は主としてPTH高値群に認められた. DXA法による橈骨骨塩量やΣGS/Dは, 女性ではCXD法による橈骨骨塩量と同様の変化を示したが, 男性ではPTHにかかわらず両群いずれも有意な骨量低下を検出できなかった. また, 骨塩量の年間減少率は男女いずれもCXD法による橈骨骨塩量がDXA法による橈骨骨塩量に比較して有意に高値であった. CXD法による橈骨骨塩量にはDXA法で測定した骨塩量のうち, 橈骨, 上肢, 全身骨塩量などの皮質骨塩量と高い相関が認められた. 腰椎正面骨塩量との相関は男性に比して女性で高く, 女性ではPTHにかかわらず高い相関を認めた. 今回測定した各種骨塩量と年齢との相関は認めなかったが, CXD, DXA法による橈骨骨塩量は透析期間と負の相関を示した. 以上の成績から, CXD法による橈骨骨塩量は他の骨塩量測定法に比し皮質骨塩量のみならず海綿骨塩量の変化をも鋭敏に反映し, 透析患者の骨塩量評価において皮質骨, 海綿骨両者の変化を総合的に評価する有用な検査法と考えられた.

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