日本透析医学会雑誌
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胸腔鏡下心膜開窓術が有効であった尿毒症性心膜炎の1例
青木 雅信中野 優吉原 仁宣大井 諭鈴木 和雄藤田 公生
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1999 年 32 巻 9 号 p. 1269-1273

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抄録

症例は64歳女性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため, 平成1年10月より週2回維持透析を施行していた. 平成8年3月頃より胸部X線で心胸比 (CTR) 80%と心拡大, 心エコーで多量の心嚢液貯留を認めた. ドライウェイト (DW) を下げたが改善せず軽度の胸部苦悶感, 呼吸困難出現したため当院内科にて心嚢穿刺施行し一旦症状は改善したが, 再度貯留したため透析を週3回に増やし心嚢穿刺も施行した. しかし, 状態は改善しなかったためステロイドの心嚢内注入, ステロイド内服を試みたがこれらも著効せず, 平成9年2月14日当院呼吸器外科にて全身麻酔下に左胸腔鏡下心膜開窓術を施行した. 術後経過は良好で症状も改善したが, 7月下旬頃より再度心嚢液貯留を認め, 胸部症状も出現したため8月19日右胸腔鏡下心膜開窓術を施行した. 以後, CTR 60-70%で胸部症状も認めていない. 本症例のように内科的治療に抵抗性の尿毒症性心膜炎に対しては胸腔鏡下心膜開窓術は比較的侵襲が少なく有効であると考えられた.

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