日本透析医学会雑誌
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血液透析症例における慢性心不全の合併とエンドセリンの関連
丸山 寿晴三谷 秀樹古田 勝彦須藤 祐正里村 厚司大井 洋之
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2000 年 33 巻 9 号 p. 1237-1243

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抄録
慢性腎不全患者の予後に心不全の合併が大きく影響している. 慢性心不全にエンドセリンが強い関与を示すともいわれている. そこで心不全合併の慢性腎不全例についてエンドセリンを中心に検討した.
慢性腎不全維持透析患者を対象とした. 左室駆出率 (EF) が0.45以下を示す13症例を慢性心不全群, EFが0.55以上を示す18症例を対照群とした. 血液透析前後の血漿レニン活性 (PRA) と心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) とエンドセリン (ET) を測定した. 透析前後の血圧変化率 (%BP) と心拍出量変化率と全身血管抵抗変化率を測定した. 透析後の心エコー検査にて左房径 (LAD) と左室拡張期径 (LVDd) と左室収縮期径とEFを測定した.
透析前および透析後のPRA, ET, ANPは慢性心不全群が対照群に比べ有意に高値を示した. 透析前後のETの変化はANPの変化の仕方と異なった. 慢性心不全群において, 透析前ETがPRAと相関係数0.74の有意な相関を示した. 透析前ETがLVDdと相関係数0.74の有意な相関を示した. 透析後ETはLAD, %BPと有意な相関を示した.
ETは慢性心不全群において有意な上昇を示した. ETは心不全時の血行動態と関与する可能性が示唆された. 血液透析時の除水による前負荷の減少に伴い, ETの変化は減少を示さなかった. 慢性心不全群でPRA, ETが有意に上昇を示し, 有意に相関を示した. 心不全の病態時にはETとPRAは相互的に作用する可能性が考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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