日本透析医学会雑誌
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血液透析治療に関する医療情報交換のためのデータフォーマット (HeMX) の設計
日本透析医学会学術委員会透析医療におけるコンピュー伏見 清秀劉 天泉鈴木 卓武田 稔男田代 嗣晴秋葉 隆
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2000 年 33 巻 9 号 p. 1273-1282

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抄録
透析医療に関する診療オーダーと諸記録の電子化は普及しつつあるが, 電子化された診療情報の共有による有機的多施設間連携や統合的な情報活用は進展していない. その原因の一つは透析医療情報の交換のための規格が定まっていないことにあると考えられる. そのため本研究では血液透析に関する診療情報を効率的に記述, 交換するための共通フォーマット, HeMXを設計した.
HeMXの使用目的は血液透析治療の記述と情報交換に限定した. 血液透析以外の血液浄化療法は複雑で実施頻度が多くないため除外した. また, 病歴, 診察, 処方など一般診療に関する事項は他の方法で記述することとした. 設計にあたり, 実際の血液透析診療諸記録から電子的に記述すべき情報を抽出し, 項目の列記と構造化を行い診療情報モデルを作成した. 記述言語は, 汎用性, 柔軟性, 構造的記述能力およびインターネットとの親和性からXMLを採用した.
HeMXは医療施設と患者の識別情報を持つヘッダー部と, 血液透析の履歴情報, 指示情報, 実施記録情報, 検査結果情報の4つのセクションからなる本体部から構成される. 履歴セクションは透析導入とブラッドアクセスの情報を持つ. 指示セクションは透析医療に固有の継続指示, 曜日単位の指示, 透析1回毎の指示を記述できる構造とした. 実施記録セクションはスタッフによる諸観察項目と機器からの取り込み情報を記載可能とした. 検査セクションは血液透析に関連する最小限度の項目の記述を目的とし, それ以外の詳細な検査情報は外部参照することとした. また, パソコンにより容易にHeMX情報を参照できるように, ブラウザによるHeMXビューワーを作成した.
HeMXは臨床実用性の高い透析情報交換フォーマットであると考えられる. HeMXが広く用いられることにより, 多施設間の情報共有と診療連携が進み, 透析医療の向上と効率化が進展することが期待される.
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© 社団法人 日本透析医学会
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