抄録
当院では残存腎機能が比較的維持されている腹膜透析 (PD) 患者において, 1週間に1日以上の休息日を設けたPD処方を行っている. 今回, PD休息日が患者のQOLにどのように影響しているのか, また, 今後の看護支援のあり方について検討した.
対象および方法: 外来通院している腹膜透析患者のうち, 1週間に1日の休息日を実施している7名を対象とし, 受け持ち看護師の患者資料をもとに個々の患者と面接を行い, 休息日についてのアンケート調査を実施した. また, 過去に休息日を有するPDを行っていた5名にもアンケート調査を実施した.
結果: 休息日により6名は行動範囲が拡大され交遊時間も延長し, この中で5名が大きな精神的なゆとりを得ることができた. また, 休息日に貯留液がないために違和感を感じている患者, 休息日は治療日よりも食事や水分制限に注意が必要になってくることに不安を感じている患者, 休息日に透析不足や溢水などが起こるのではないかという不安を感じている患者がそれぞれ4名いたが, 全例休息日のある透析処方に満足していると回答した. 過去に休息日を有するPDを行っていた症例の検討では, 毎日PDを行うことにより, 全例, 行動範囲が縮小し, 交遊時間が短縮し, ストレスが増加したと回答した.
結論: PD休息日により, 目的に合わせたQOLの向上が得られていることが, 明らかになった. 今後, この治療を患者の不安なく行うためには, 援助者自身のカウンセリング技術や指導内容をさらに充実させる必要がある.