日本透析医学会雑誌
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透析食のタンパク質量に関する検討
川上 純子鈴木 好夫小泉 典子関根 康子清田 マキ
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2003 年 36 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

腎疾患における透析食において, 四訂日本食品標準成分表 (以下, 成分表) によるタンパク質量の計算値と実験による定量値に差異があるのか, またこのタンパク質量の比率 (定量値/計算値) と調理後の透析食の重量, 並びにその水分含有量間の相関についてを分析した. 腎疾患用市販透析食献立カードから36食を無作為抽出し, これを供試食とした.
タンパク質定量は, ケルダール法 (Kjeldahl法) により窒素定量分析し算出した.
成分表による計算値を1とした場合の実験による定量値平均は0.972±0.157であり, 計算値と定量値間には有意差はなかった (p<0.05). 1食あたりの調理後の平均タンパク質定量値は計算値よりやや低い傾向にあった.
このことより, 今回のわれわれの研究では, 定量値が計算値より低かったことが確認されたが, その比率の差は2.8%で喫食上の評価からは特に問題視する必要はないものと考えられた. 今回使用した献立カードサンプルの各食事ごとの平均を求めて合計し, 1日分とした場合, 成分表と腎臓病食品交換表によるタンパク質量の差は約4%で, 交換表値が低かった. 調理後透析食の定量値と成分表による計算値との差異を考慮し, 安全な摂取量の確保, および低栄養を予防することが必要である. 献立上の成分表による計算値と調理後のタンパク質量を明らかにした文献は少なく, われわれの研究は有意義であると考える.

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© 社団法人 日本透析医学会
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