日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
36 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第47回日本透析医学会教育講演より
    樋口 千恵子
    2003 年 36 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 川上 純子, 鈴木 好夫, 小泉 典子, 関根 康子, 清田 マキ
    2003 年 36 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎疾患における透析食において, 四訂日本食品標準成分表 (以下, 成分表) によるタンパク質量の計算値と実験による定量値に差異があるのか, またこのタンパク質量の比率 (定量値/計算値) と調理後の透析食の重量, 並びにその水分含有量間の相関についてを分析した. 腎疾患用市販透析食献立カードから36食を無作為抽出し, これを供試食とした.
    タンパク質定量は, ケルダール法 (Kjeldahl法) により窒素定量分析し算出した.
    成分表による計算値を1とした場合の実験による定量値平均は0.972±0.157であり, 計算値と定量値間には有意差はなかった (p<0.05). 1食あたりの調理後の平均タンパク質定量値は計算値よりやや低い傾向にあった.
    このことより, 今回のわれわれの研究では, 定量値が計算値より低かったことが確認されたが, その比率の差は2.8%で喫食上の評価からは特に問題視する必要はないものと考えられた. 今回使用した献立カードサンプルの各食事ごとの平均を求めて合計し, 1日分とした場合, 成分表と腎臓病食品交換表によるタンパク質量の差は約4%で, 交換表値が低かった. 調理後透析食の定量値と成分表による計算値との差異を考慮し, 安全な摂取量の確保, および低栄養を予防することが必要である. 献立上の成分表による計算値と調理後のタンパク質量を明らかにした文献は少なく, われわれの研究は有意義であると考える.
  • 下条 文武, 天野 泉, 中澤 了一, 安済 勉, 伊丹 儀友, 井上 聖士, 大林 誠一, 大平 整爾, 大藪 靖彦, 小野 利彦, 加藤 ...
    2003 年 36 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    β2-ミクログロブリン (β2-m) 吸着器リクセルを用いた透析アミロイドーシスに対する治療として, 充填容量350mL (S-35; プライミング容量177mL: 男29例, 女24例), 150mL (S-15; プライミング容量65mL: 男28例, 女38例) の2種について, 副作用軽減効果, 臨床効果, およびβ2-mの吸着除去性能を比較検討した. その結果, リクセルS-15の使用で副作用軽減効果 (発生率: S-35; 25%, S-15; 8%) を認め, 臨床効果に関してS-15はS-35と同等の関節痛の改善効果が期待できること, β2-m血漿クリアランスの大きい透析器を併用することでS-15使用時でもS-35使用時の90%程度のβ2-mの除去が可能であることが明らかになった. リクセルS-15使用で関節痛が悪化してS-35への変更が必要であった症例も一部認められたことから, 副作用のみられない症例にはS-35の使用が望ましく, 副作用により治療に支障をきたす症例に対しては, S-15は有用なデバイスであると考えられる.
  • 力丸 伸樹, 大塚 容子, 貞松 研二, 車 忠雄, 金谷 庄蔵
    2003 年 36 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性維持透析患者においてフローワイヤーおよび組織ドップラー心エコーを用いて冠予備能および拡張早期波形を計測することにより心筋組織障害の有無を検討した. 対象は胸痛を主訴とするか心電図異常を指摘された非糖尿病慢性維持透析患者で冠動脈造影上有意狭窄を認めない7例. 男性4例女性3例, 平均年齢は64.8歳.
    冠血流速度は, フローワイヤーを左冠動脈前下行枝7番および左冠動脈回旋枝13番に挿入し, 硝酸isosorbide (2mg) 冠注後の安静時冠血流速度を測定した. 冠予備能は, 安静時冠血流速度測定後にnicorandil (2mg) 冠動脈内注入後の反応性充血時冠血流速度を測定し, 安静時冠血流速度との比で求めた. 心臓カテーテル検査前に組織ドップラー心エコーを行い, 左室心尖部アプローチによる僧帽弁弁輪部での拡張早期波形を求めた.
    今回のわれわれの症例における冠予備能は左冠動脈前下行枝では2.0±0.5, 回旋枝では2.0±0.3と低下していた. 拡張早期波形は9.6±2.0cm/sと低下していた.
    以上より慢性維持透析患者には冠予備能低下と心筋組織障害を有する症例が存在することが示唆された.
  • 潮下 敬, 泉川 欣一, 原 耕平, Arifa Nazneen, 古巣 朗, 宮崎 正信, 河野 茂
    2003 年 36 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    本邦では毎年ハチ刺症により約40人の死亡が認められる. アナフィラキシーショックはよく知られているが, 横紋筋融解症による急性腎不全の合併症例は比較的少ない. 今回, われわれはスズメバチ刺症後に横紋筋融解症, 多臓器不全をきたし血液透析を施行して救命した症例を経験した. 症例は80歳男性. 全身をスズメバチに刺されて意識消失し緊急入院となる. 入院後急性腎不全を主体とする多臓器不全を発症したが, 血液透析を計8回施行して腎機能は回復した. 透析離脱後は他の臓器不全も改善し後遺症も認められなかった.
    ハチ刺症による急性腎不全の発症機序としてはハチ毒による尿細管壊死, 横紋筋融解, 血管内溶血などが考えられる. これまでの報告と合わせてスズメバチ刺症による多臓器不全について報告する.
  • 早川 和良, 伊東 祐二, 平野 良尚, 西田 佳雄, 縄田 万寿美, 高屋 忠丈, 安田 洋, 西山 裕二, 長屋 豊彦
    2003 年 36 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Amantadine hydrochlorideはパーキンソン病に広く用いられ, 近年はA型インフルエンザウィルス感染症に対しても有効とされる薬剤であるが, 腎排泄性で透析性がほとんどないため, 腎不全患者においては投与に注意を要する. 今回われわれはパーキンソン症状を呈した透析患者のamantadine hydrochloride中毒例を経験した. 症例は82歳男性で, 構音障害の増悪, 加速歩行, すくみ足の出現にて同剤を150mg/日処方され, その後不随意運動, 不穏, せん妄状態が出現した. 同剤による中毒と判断し, 除去目的にて血液直接吸着 (DHP), 血液濾過 (HF) を施行した. 患者はその後徐々に症状が軽快し回復した. DHPは吸着率93.5%と高く, 同剤の除去に有効であると考えた. HFによる除去の報告は今までにないが, 23.5%の血中濃度変化率を得た. DHP, HF施行前後で明らかな精神症状の改善を認め, 臨床的に有用な除去手段の一つであることが示唆された.
  • 井手 紀子, 西本 愛, 藤崎 大整, 三根 誠, 池田 裕次, 酒見 隆信, 力武 修
    2003 年 36 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性. 1996年7月に慢性血液透析導入 (原疾患は不明). 以後, 近医にて維持透析を受け, 著変なく経過していた. 2000年3月末から発熱, 食欲低下, 倦怠感が出現. 一方で呼吸器症状などは認めず, 炎症所見も認められないため, 経過観察されていたが, 定期の胸部X線写真にて, 両側の肺野に浸潤影を認めたため, 4月7日当院に入院となった. 2000年2月21日より高血圧に対しロサルタン25mg/日が新規で処方されていたことと, 以前に薬剤性肺炎の既往があること, そして末梢血・気管支洗浄液中の好酸球の増加, 胸部X線写真上両側の肺野に浸潤影の出現を認めることなどからロサルタンによる好酸球性肺炎と考え, 薬剤の中止とステロイドの投与を行った. その結果, 速やかに解熱し, 末梢血中の好酸球の減少, 胸部X写真の改善を認め, 軽快退院となった.
    これまで, ロサルタンによる好酸球性肺炎の報告例はなく, 稀な発症と思われた, しかし近年本剤のようなアンジオテンシンII受容体拮抗薬は血液透析中の高血圧症患者においてもその有用性が示され, 長期投与の安全性も報告されていることから, 使用頻度の増加から本例のような症例の増加も懸念されるため報告した.
  • 吉岡 淳子, 猪原 登志子, 野村 啓子, 小林 いけい, 渡部 仁美, 小野 孝彦, 深津 敦司, 武曾 恵理, 小西 憲子
    2003 年 36 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 44歳時慢性糸球体腎炎と診断され50歳時に血液透析に導入された. 透析導入5年目頃より, 透析後に38度台の発熱を呈するようになり, その後, 透析以外の日にも発熱をきたすようになった. CRP上昇 (4.6mg/dL), 白血球増加 (10,700/μL), 好酸球増加 (36%), 抗核抗体陽性を認め, 透析膜アレルギーによる発熱, 透析液中の発熱物質の存在, 感染症, 膠原病, 悪性腫瘍, 薬剤熱等が疑われたが, 精査の結果いずれも否定的であった. Myeloperoxidase (MPO)-ANCA, proteinase 3 (PR3)-ANCAが陽性であり, ANCA-related vasculitisが強く疑われprednisolone 40mgを開始したところ発熱は軽快し, CRPの陰性化, 好酸球の減少を認めた. 血液透析患者の不明熱の原因としてこれまで指摘されてきたもの以外にANCA-related vasculitisも考慮する必要があると考えられた.
feedback
Top