日本透析医学会雑誌
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維持透析患者の石灰化冠動脈病変に対するrotational atherectomy後ステント留置例の初期および遠隔期成績の検討
西條 公勝常喜 信彦中村 正人長谷 弘記
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2003 年 36 巻 5 号 p. 327-334

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抄録

維持透析患者の冠動脈病変は高度石灰化を伴うことが多い. Rotational atherectomy (RA) の登場により石灰化病変に対する適応が拡大されてきた. そこでRA後ステントを留置した石灰化冠動脈病変を有する維持透析患者の初期および遠隔期成績, 合併症の頻度についてballoon angioplasty (BA) 後ステントを留置した症例と比較検討した. 当院にてRA施行可能となった1997年7月から2001年12月までにRA後ステントを留置した42症例49病変をRAステント群, 当院でステント留置が可能となった1994年2月からRA開始となった1997年7月までにBA後ステントを留置した17症例20病変をBAステント群とした. RAステント群において糖尿病性腎症が占める割合が有意に高かった. RAステント群において, よりtype B2/C (ACC/AHA分類) の複雑病変が多かった. 初期成功率はRAステント群95%, BAステント群100%と両群とも高かった. 両群ともQ波梗塞, 緊急冠動脈バイパス術は認められなかった. しかしRAステント群において2例死亡した. 6ヵ月の観察期間で再血行再建が必要であった割合はBAステント群35.3%に対してRAステント群では25.0%と10%低かったが有意差は認められなかった. 維持透析患者に対するインターベンションはRAの登場により, 複雑かつ石灰化病変に対する対応が可能となったと考えられた.

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