日本透析医学会雑誌
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慢性腎不全患者におけるドブタミン負荷心エコー (DSE) の虚血性心疾患診断への有用性
中村 敏子中浜 肇吉原 史樹稲永 隆中谷 敏河野 雄平
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2003 年 36 巻 5 号 p. 335-339

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抄録

ドブタミン負荷心エコー (DSE) は, 虚血性心疾患 (IHD) の診断や手術前の心血管系疾患の評価などに有用と報告されている. また, 慢性腎不全や透析患者ではIHDの合併が多い. そこで, 慢性腎不全患者にDSEを行い, IHDの診断に有用かどうか検討した. 対象は慢性腎不全患者40例 (Cre 4.8±0.4mg/dL) (慢性糸球体腎炎12例, 糖尿病17例, 高血圧9例, その他2例) である. 血圧, 心電図, 心エコーをモニターしつつ, ドブタミンを5μg/kg/minから点滴投与し最大40μg/kg/minまで増量し, 虚血に伴う壁運動異常の出現を検出した. ドブタミン40μg/kg/minで壁運動異常が出現しなかったM群 (14例), 壁運動異常が出現したA群 (10例), 不整脈, 頻脈, 血圧上昇や低下のため検査を中断したS群 (16例) の3群が認められた. 血管造影にてIHDの有無を確定診断し得た26例 (M群8例, A群9例, S群9例) の中で, 12例 (M群1例, A群7例, S群4例) にIHDを認め, A群で有意に多かった (p<0.05). DSEは慢性腎不全患者のIHDの診断に有用であると考えられた.

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