日本透析医学会雑誌
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非Hodgkinリンパ腫を合併した維持透析患者の4例
今村 茂樹森 穂波豊田 朗黒田 豊西田 淳二山田 茂樹田部井 薫
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2003 年 36 巻 5 号 p. 345-351

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抄録

維持透析患者では悪性腫瘍の発生率が高いことが知られている. 近年, 非Hodgkinリンパ腫の患者数は増加傾向にあるが, 透析患者における悪性リンパ腫の報告は本邦では7例と少ない. 今回われわれは, 維持透析患者に合併した非Hodgkinリンパ腫4例を経験したので, 報告する.
症例1: 63歳, 女性. 糖尿病性腎症による腎不全で, 透析歴5年. 左下肢痛, 発熱, 意識障害を主訴に来院. 各種抗生物質にも反応せず, 汎血球減少を伴った異型リンパの出現とLDHの急速な増加を認め, 悪性リンパ腫を疑うも肺胞出血にて死亡. 剖検結果より悪性リンパ腫 (diffuse large B cell) と診断された. 症例2: 80歳, 男性. 透析歴3か月. 発熱, 右大腿部痛にて発症し, 右大腿部腫瘤生検にて, 非Hodgkinリンパ腫 (diffuse large B cell) と診断. 放射線治療を行った. 症例3: 72歳, 男性. 透析歴6か月. 頸部, 腋窩, 鼠径部リンパ節腫脹, 発熱にて発症し, 右鼠径部リンパ節生検にて非Hodgkinリンパ腫 (T cell rich B cell lymphoma) と診断. 半量THP-COP療法にて部分寛解を得た. 症例4: 53歳, 男性. 透析歴3年2か月. 頸部腫瘤, 嚥下困難にて発症し, 生検にて非Hodgkinリンパ腫 (diffuse large B cell) と診断. CPAを減量したCHOP療法施行するも, 18か月にて死亡.
今後, 透析患者の悪性リンパ腫の増加が懸念されるが, 化学療法の選択について慎重でなければならない.

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