日本透析医学会雑誌
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続発性アミロイドーシスによる消化器病変に対しprednisoloneとmesalazineの併用療法が有効であった慢性腎不全の1例
中 美紀中西 健高光 義博田中 希穂越智 聡
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2003 年 36 巻 9 号 p. 1447-1452

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抄録
症例は74歳女性. 2000年4月27日, 腎機能の悪化, 全身倦怠感, 嘔気, 高度の貧血などの尿毒症症状が著明となったため, 入院した. 既往歴では1997年6月, リウマチ様関節炎 (RA) と診断され, 10月には下痢, 下血が出現. RAによる続発性アミロイドーシスが原因と考えられ, salazosulfapyridineによる治療が開始, 継続されていた. 腎機能悪化の経過は詳細不明であった. 今回, 入院後, 血液透析に導入したが, エリスロポエチン製剤不応性の貧血に加え, CRP 10.mg/dL, 赤沈亢進とともに関節痛の増強も認めた. RAの増悪と考え, 5月19日よりprednisolone 5mgの投与を開始した. 以後貧血は著明に改善し関節痛も消失したが, 消化器症状は改善しなかった. 直腸生検にてRAによる続発性アミロイドーシスと確定診断し, 5月26日よりsalazosulfapyridineから除放性mesalazineの内服に変更した. 消化器症状は軽減し, 治療前の下部消化管内視鏡検査において認められたS状結腸の浮腫および潰瘍を伴う大腸病変は消失した. 以上より, 本症例では続発性アミロイドーシスによる消化器病変に対してprednisoloneとmesalazineの併用療法が有効であったと考えた.
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