日本透析医学会雑誌
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糖尿病合併の血液透析患者における血糖コントロール指標としてグリコヘモグロビン値とグリコアルブミン値の検討
湯浅 健司湊 淳伊野部 拓治松下 和弘戦 泰和大田 和道岩佐 幹恵近森 一正寺尾 尚民末廣 正
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2004 年 37 巻 11 号 p. 1951-1957

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抄録

透析患者の血糖 (BG) コントロールの指標としてグリコヘモグロビン (HbA1c) およびグリコアルブミン (GA) の2つを比較検討した. 対象は, 糖尿病を有する慢性維持血液透析患者41名 (男性31名, 女性10名, 平均年齢65±9歳) であり, 全例が昼間透析である. 透析来院時に, 透析開始時, 透析中昼食前, 透析終了時の3ポイントで血糖値を, また透析開始時の採血でHbA1cとGAを測定し, それぞれの関係を検討した. また, 同日から遡り過去4週および2週間の透析開始時平均血糖値 (朝食後平均143分後) を求め, これら平均値とHbA1c, GAおよび他の因子との関係についても検討した. 結果は, GAとHbA1cとは良好な相関関係が認められた (r=0.663, p<0.001). GAは透析開始時血糖値および透析中食事前血糖値と正の相関がみられたが, HbA1cはこれら血糖値と関係がみられなかった. 過去4週および2週間における透析開始時平均血糖値 (BG4WおよびBG2W) とHbA1cおよびGAとに有意な正相関を認め, さらに, GA/HbA1cとも正の相関 (BG4W: r=0.418, BG2W: r=0.431) が認められ, 血糖上昇とともにGAとHbA1cが解離した. BG4Wの血糖値レベルからA群: BG<150mg/dL群, B群: 150≦BG<200mg/dL群, C群: BG≧200mg/dL群の3群に分け検討したところ, C群ではA群に比してHbA1c, GAおよびGA/HbA1c比が有意に高値を示した. またBG4W, BG2WいずれにおいてもBG<150mg/dLのA群でのGA/HbA1cは3.5±0.2と高値を示した. 糖尿病を有する透析患者では, HbA1cと血糖との相対的な関係は保たれるが, 血糖値良好であってもHbA1cの絶対値は低く示され, さらに, 血糖コントロールが悪化するにつれてHbA1cの絶対値の増加が少なかった. 透析患者の血糖コントロール状態はHbA1cよりもGAのほうが適していると考えられた.

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