日本透析医学会雑誌
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意識障害で発症し血液透析療法が奏効したエチレングリコール中毒の1例
山田 剛久西尾 康英
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2004 年 37 巻 2 号 p. 169-173

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抄録

症例は64歳, 男性. 2002年1月8日早朝に意識障害が認められたため, 救急外来に搬送された. 救急外来受診時の意識レベルはJapan Coma Scale (JCS) のIII-100であり, 著明な代謝性アシドーシス (pH: 6.947) と高カリウム血症 (血清K: 6.6mEq/L) を呈していた. 入院後, sodium bicarbonate (メイロン®) の点滴によるアシドーシスの改善を試みたが奏効せず, 意識レベルがJCSのIII-300まで悪化した. 尿中に特徴的な薬物結晶を認め, 患者自宅にあった車の不凍液の量が減少していることが判明したためエチレングリコール中毒と診断した. 治療としてエチレングリコールの拮抗薬であるエタノールの点滴静注と持続的血液濾過透析および血液透析を施行し, 後遺症を残さず軽快退院した.

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