日本透析医学会雑誌
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慢性維持透析患者のA行動パターンスクリーニングテスト
安達 康子野瀬 巌西田 秀美内村 直尚立石 裕宣漁原 洋子武田 奈緒美吉田 清美山本 高士大和 由紀夫田尻 哲也飯田 修司吉武 信行和田 芳文前田 久雄奥田 誠也
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2004 年 37 巻 8 号 p. 1633-1638

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抄録

目的: A行動パターンスクリーニングテストが血液透析患者の指導を行う上での指標として有用か否かを調べた. 対象: 血液透析患者は143名 (男性85, 女性58, 平均年齢55.8歳, 平均透析期55.7か月) と非透析者は287名 (男性136, 女性151, 平均年齢38.6歳) を対象とした. 方法: 透析患者と非透析者にA行動パターンスクリーニングテストを行い, 両者を比較検討した. 透析患者の透析前の血清リン, 血清カリウム値, BUN値, 各種薬剤の服用率とA行動パターンスクリーニングテストとの関連を検討した. 結果: 透析患老と非透析者のA行動パターンスクリーニングテストの結果は共分散分析で, 透析患者で有意に高かった (p=0.04). 透析患者のA行動パターンスクリーニングテストと透析前の血清カリウム値はr=-0.239 (p=0.004), 血清リン値はr=-0.214 (p=0.01), 透析前のBUN値はr=-0.235 (p=0.005) と負の相関を認めた. A行動パターンスクリーニングテストと内服薬の服用率では, ビタミンD製剤と炭カル錠でタイプA (97.5±5.4%) の方がタイプB (92.8±13.6%) より高く (p=0.023), すべての薬剤でもタイプA (97.3±5.5%) の方がタイプB (93.5±12.6%) にくらべ有意に高かった (p=0.033). 考察: タイプAの患者は今まで通りの服用や検査結果を維持しながら, ゆとりを持つように指導することが重要であると考えられ, タイプBは内服薬の服用率も悪く, 血液検査結果も悪いことから, 食生活も不十分であることを示している. 行動特性を調査することで, 血液透析導入早期より患者に合った指導が可能になると考えられる. 結語: A行動パターンスクリーニングテストは指導を行う上で指標として有用と考えられた.

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