日本透析医学会雑誌
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血液透析患者の剖検にて発見された全身性AAアミロイドーシスの1例
大島 直紀目黒 真理子三上 修治北村 直人関 守信村上 円人
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2006 年 39 巻 11 号 p. 1531-1536

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抄録

血液透析歴3年の85歳, 女性. 透析中に吐血, 上部消化管内視鏡検査で出血性胃潰瘍を認め入院となった. 症状は一時改善したが, その後腹部膨満が出現, 腹部CTを施行したところイレウス所見を認めた. 以後, 水様性の下痢便が出現し, 持続した. 4週間後に再度施行した腹部CTで大腸の拡張, 直腸壁の肥厚を認めたため, 下部消化管内視鏡検査を施行, 肉眼的所見より潰瘍性大腸炎と診断された. 治療としてプレドニゾロン40mg/日を点滴静注したが症状の改善はなく, 全身状態は悪化し, 永眠した. 剖検による病理診断では結腸をはじめとする全身性AAアミロイドーシスであったが, 先行する慢性炎症性疾患は認めなかった. 抗生剤に反応しない, 持続する下痢症ではアミロイドーシスを疑うことの重要性が示唆され, また, 透析患者の原因が同定できなかったAAアミロイドーシスの合併例はまれと考えられた.

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