日本透析医学会雑誌
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再発性多発軟骨炎に繰り返すバスキュラーアクセス異常を合併した透析患者の1例
和田 幸寛本田 浩一足利 栄仁内田 潤一北澤 孝三杉崎 徹三高 順一吉武 理草野 満夫稲本 伸子稲本 元秋澤 忠男
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2006 年 39 巻 11 号 p. 1537-1542

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抄録

症例は61歳女性の維持透析患者で血液透析のバスキュラーアクセスとして留置した人工血管と右浅大腿動脈との吻合部に腫瘤が出現したため来院した. 1999年原疾患不明で血液透析導入となり, 自己表在静脈に乏しく右前腕に人工血管内シャントを造設され, 維持透析が行われていた. 1997年より難治性副鼻腔炎に罹患していたが2002年頃から悪化し, 同年末に鼻腔軟骨炎発症, 組織所見より再発性多発軟骨炎 (RP) と診断された. RPに関連した鼻軟骨炎, 皮膚症状などは反復性に悪化し, ステロイド, 免疫抑制剤の投与が行われたが, 疾患の活動性は完全には抑えられなかった. RPの活動性上昇に伴い繰り返しシャントトラブルが出現し, 2002年から2004年の間に計3回の人工血管内シャントトラブルと, 人工血管動脈側吻合部周囲に腫瘤を生じた. 2005年2月に新たに人工血管と右大腿動脈の吻合部周囲に腫瘤が出現し, 急速に増大するため外科的処置にて確認したところ血清腫であった. 本経過から頻回な血清腫形成および人工血管閉塞にRPとの関連性が疑われた.

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