認知症治療研究会会誌
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Print ISSN : 2189-2806
長寿時代の不眠治療 大田メソッド
大田 浩右
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 8 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

不眠治療は健康の要であり記憶力と深い関係にある.不眠の病態は複雑なため,いわゆる睡 眠薬による単純治療は不適切である.認知機能に悪影響を及ぼすと問題になっているBZ 薬とZ 薬の 作用は鎮静である.私は依存性,抗コリン作用が少なく,睡眠を深くする鎮静作用をもつ抗てんかん 薬を中心に不眠治療を行っている.本稿では,私の日常診療の要である大田メソッドを紹介する. 認知症予防のために睡眠は大切だが,高齢者の不眠治療は,加齢による睡眠力の低下と薬による認 知機能障害のジレンマという難しさがある.大田メソッドでは,軽度睡眠障害には,運動習慣と睡眠 環境を含む生活改善を勧め,緩やかな鎮静作用薬を処方する.睡眠障害の原因となる疾患を特定し, それを治療することで不眠が治ることも多い.難治性睡眠障害には,私が長年の不定愁訴治療から体 系づけた抗てんかん薬,抗うつ薬などの少量処方を試す.睡眠障害の治療は薬の選択と用量が重要で ある.

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© 2022 認知症治療研究会
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