抄録
リニューアルした「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版)」が発表された.この新ガイドラインは,Sicilian Gambitの概念と我が国でのエビデンスを融合させた点に特徴がある.また,洞調律維持の治療戦略では,孤立性心房細動(AF)と器質的病的心に伴うAFとを分けて提示した点も特徴である.孤立性発作性AFの洞調律維持治療ではI群薬のNaチャネル遮断薬5剤を第一選択としたが,使用実態と適応症を考慮し,ピルメノールを除外しプロパフェノンを新たに加えた.器質的病的心に伴うAFでは,III群薬以外にI群薬から唯一アプリンジンが入ったことが特徴である.現在開発中の心房特異的抗AF薬など新規薬剤の位置付けを含め,今後に残された課題も少なくないが,今回の新ガイドラインが実地臨床で十分に活用されることを願っている.