心電図
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第26回 日本心電学会学術集会 学術諮問委員会提言シンポジウム
不整脈にCa拮抗薬とATPをどう使うか―基礎と臨床―
Ca拮抗薬とATPの抗不整脈作用
小野 克重
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2010 年 30 巻 1 号 p. 3-19

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抄録

Vaughan-Williams分類第4群に属するCa拮抗薬は,主に電位依存性L型Ca2+チャネルに結合してCa2+電流を抑制する.このため,Ca2+電流依存性興奮組織の洞房結節や房室結節における自動能の亢進もしくはこの部位を回路の一部とするリエントリー性不整脈に対しCa拮抗薬は有効である.撃発活動(triggered activity)とは活動電位の再分極相,あるいはその直後に生じる小さな膜電位振動から発生する単発,あるいは反復性の興奮で,活動電位持続時間が延長している時や細胞内Ca2+過負荷が生じている病的条件で起こる.Ca拮抗薬は撃発活動に対して顕著にこれを抑制する.抗不整脈作用を有するCa拮抗薬は,ベラパミル(フェニルアルキラミン系)とジルチアゼム(ベンゾチアゼピン系)に限られ,通常降圧剤として用いられるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は血管選択性が強いために心臓作用は期待できない.一方,Vaughan-Williams分類では抗不整脈薬に分類されていないが,アデノシンやATP(アデノシン三リン酸)は受容体を介した心筋細胞外からの作用によって洞房結節の自動能を抑制する(陰性変時作用;negative chronotropic effect)とともに,房室伝導を抑える(陰性変伝導作用;negative dronotropic effect).また,心室筋に対しては間接作用(抗β受容体作用)によって電位依存性L型Ca2+チャネルを抑制する.血管内に投与されたATPは直ちに代謝を受けてアデノシンに変換されるが,それまでの間はATPとしての作用と変換後のアデノシンとしての両作用で心筋や血管機能を調節し,不整脈の診断や治療に欠かせない.本章では,Ca2+チャネルとCa拮抗薬の薬理作用,さらにATPとアデノシンの作用機序を概説する.

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© 2010 一般社団法人日本不整脈心電学会
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