心電図
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症例
アブレーション4ヵ月後に認めたATPによる左房肺静脈間の一過性伝導再開
福本 耕太郎高月 誠司谷本 耕司郎西山 信大相澤 義泰福田 有希子佐藤 俊明三好 俊一郎小川 聡
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2010 年 30 巻 1 号 p. 73-79

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抄録
症例は72歳女性,9年来の発作性心房細動.2007年3月カテーテルアブレーションを施行されたが心房細動が再発したため,同年12月に2回目のアブレーションを施行し,再度左右の上下肺静脈を電気的隔離した.その後,心房細動発作は消失したが,2008年3月に,心房頻拍が発作性に出現するようになったため,同年4月に3回目のアブレーションを施行した.無投薬下では右下肺静脈のみに伝導再開を認め,イソプロテレノールおよびアデノシン三リン酸(ATP)の静注時のみ右上肺静脈に一過性の伝導再開を認めた.臨床的に認められた心房頻拍は右肺静脈起源と考えられ,再度右上下肺静脈を電気的隔離した.最終的にイソプロテレノールおよびATP静注でも右上肺静脈左房間の伝導を認めなくなり,その後不整脈の再発なく経過している.前回のアブレーションから4ヵ月後,ATP静注時にのみ右上肺静脈左房間の伝導を認め,それが臨床的な心房頻拍の原因となっていた.慢性期にもATPによって伝導が再開する機能性ブロックが起こりうること,ブロックの確認にATPが重要であることが示唆された.
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© 2010 一般社団法人日本不整脈心電学会
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