心電図
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総説
重粒子線照射による心室ギャップ結合蛋白(Cx43)発現亢進と抗不整脈作用
網野 真理吉岡 公一郎古澤 佳也小林 義典伊苅 裕二猪口 貞樹児玉 逸雄田邉 晃久
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2011 年 31 巻 2 号 p. 140-149

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抄録
心臓突然死の主要な原因である心室頻拍・細動の予防,治療には,様々な薬物や,カテーテルアブレーション,植込み型除細動器(ICD)が用いられている.しかし,低い有効性や重大な副作用,QOLの低下,医療経済への大きな負担などの問題があり,十分な対策になっているとは言い難い.重粒子線照射は,我が国で1994年から開始された深在性がんに対する放射線治療法であり,その高い有効性と安全性が注目を集めている.われわれは,ウサギを用いた実験で,心臓を標的とした単回の重粒子線照射が,心筋細胞間の主要なギャップ結合蛋白であるコネキシン43(Cx43)の発現亢進をもたらし,その作用が1年以上にわたって持続することを発見した.Cx43の発現亢進は正常動物の心室のみならず,心筋梗塞後の心室でも認められ,梗塞部の伝導障害と再分極不均一性を改善するとともに,心室頻拍・細動の誘発を抑制する効果があることが判明した.今後,心臓への重粒子線照射は,虚血性心疾患や心筋症などの心室不整脈発生基質の改善における革新的な治療法として発展する可能性を有している.
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© 2011 一般社団法人日本不整脈心電学会
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