抄録
血液透析患者は非慢性腎臓病患者に比較して心臓突然死の発症頻度が25~130倍高く,透析治療開始後12時間以内と中2日を空けた透析治療前12時間以内にピークを有する.その主な原因として血中K+濃度の急激な変化,虚血性心疾患や慢性うっ血性心不全を高率に合併すること,透析治療中に急速に減少する体液量などによってもたらされる交感神経系の持続的賦活化があげられる.また,植込み型除細動器(ICD)による予後改善効果は不十分であり,抗不整脈薬の使用も限定される.一方,心房細動(AF)は高齢透析患者の30%以上に合併する.非慢性腎臓病患者に合併したAFでは,血栓性合併症を予防するワルファリン治療が最も優先されるが,透析患者では脳出血のみならず脳梗塞発症リスクを増大させる.以上,透析患者に合併した不整脈を治療する際には,その特異性を理解する必要がある.