抄録
近年,不整脈領域で普及しつつあるデバイス治療における合併症に対して,心身医学的なアプローチを要した3例をまとめた.1例目は55歳の洞不全症候群の女性で,ペースメーカー植込み術後に反射性交感神経ジストロフィー症を発症した.まれな合併症であることを説明してリハビリテーションを開始したが,退職を契機にうつ病となった.再来受診時は愁訴の傾聴に努めたが,医師患者関係が硬直化した一方,リハビリテーションスタッフとの関係構築でPHQ-9のスコアも低下しつつある.構音嚥下障害や左上肢の感覚障害は回復傾向を示し復職意欲も見られて,復職支援組織と連携をとりつつある.2例目は62歳の全身性エリテマトーデス(SLE)の女性で,陳旧性心筋梗塞と心室細動の既往があり,その二次予防目的で植込み型除細動器(ICD)の植込み術を行った.術後にポケット感染を起こしたが,強力な化学療法のみで治癒した.その後日常生活や治療への意欲が低下し,精神科で心肺停止,ICDの植込み,ポケット感染という一連のイベントによる反応性うつ病と診断された.患者団体の交流会に参加し周囲からのサポート感が得られ,抗うつ薬も中止可能となった.3例目は48歳の遺伝性QT延長症候群の女性で,ICDの植込み術後,左上肢の違和感と腫脹感を執拗に訴え,仕事に支障をきたすようになった.理学的に腫脹はなく,精神科の一過性心気症の診断のもとで固着観念の除去のために,不整脈治療機器の関連情報提供者の立ち合いで胸部CT検査を行い,結果を説明したところ理解を得られ愁訴がなくなった.不整脈デバイス関連の合併症では,関連職種との連携や心身医学的なアプローチが時に必要である.