抄録
症例は60歳,女性.心サルコイドーシスに合併した心室頻拍(VT)で通院していたが,ICD頻回作動を認め入院.心エコーでは左室中隔基部の菲薄化領域を認め,左室駆出率は26%であった.左室造影では,左室前壁,心尖部,中隔基部に心室瘤を認めた.CARTOのvoltage mappingでは,中隔基部に低電位領域と4つのscar領域を認めた.右室心尖部からの早期刺激でVTが誘発され,洞調律時にdelayed potentialが記録されたHis束電極で,VT中にmid-diastolic potential(MDP)が記録された.Isochronal mapでは,右室中隔のscar間をfigure-8 reentryに旋回する興奮を認めた.右室前中隔のMDP記録部位でentrainment pacingを入れたところ,VT termination without global captureを認め,その後のペースマップ波形はVTに一致していた.同部位での通電でVTは停止し,scar間の線状焼灼を行った後,VTは誘発不能となった.本症例は心サルコイドーシス特有の心室中隔基部菲薄化領域でVT termination without global captureを認め,同部位がVTの必須緩徐伝導路であった.この所見は陳旧性心筋梗塞に伴うVT症例において報告があるが,それ以外の症例においては非常にまれなため,報告した.