心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
症例
流出路心室頻拍を合併した大動脈弁輪拡張症に対しBentall手術と高周波アブレーションを行った1例
落合 弥奈山川 健古川 泰司一色 高明
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 33 巻 1 号 p. 82-87

詳細
抄録

症例は61歳男性.数年来,大動脈弁輪拡張症(AAE)を指摘されていた.2010年3月にバルサルバ径60mmと拡大を認め手術適応と判断されたが,動悸症状もあるため,術前にホルター心電図検査を施行したところ,左室流出路起源の持続性心室頻拍が認められた.内服加療ではコントロールできず,アブレーションの適応と考えられた.AAEがあるため経皮的アブレーションのリスクが高いと判断され,AAEに対するBentall手術と同時に高周波アブレーションを施行することとした.術前に施行した12誘導心電図および電気生理学的検査にて,左冠尖起源と予測した.同年8月,Bentall手術を施行,さらに術前の電気生理学的検査をもとにアブレーション範囲を左冠尖と推測し,約3cmにわたりアブレーションを施行した.術後経過は良好で,心室期外収縮は全心拍中0.03%以下に減少した.本症例のように外科的アブレーションを行わざるを得ない場合,術前の詳細な検討が有用である.

著者関連情報
© 2013 一般社団法人日本不整脈心電学会
前の記事 次の記事
feedback
Top