抄録
【背景】急性心筋虚血時にST-T波の交互脈(STTA)が発生すると,心室不整脈が高頻度に発生することが知られている.【方法】ブタを用い,8分間の冠動脈左前下行枝閉塞時の虚血心筋より貫壁性に単極電位,双極電位を同時記録し,また,心筋間質K+濃度(K+e),心外膜心筋活動電位を連続して記録した.【結果】STTAには2つの時相が存在した.第1相は冠閉塞後4分04秒±12秒に心内膜側で最初に出現し,K+eは7.1±0.3mM,双極電位より計測した伝導遅延は28±4msecであった.単極電位上のSTTAは双極電位の心拍ごとの変化を伴っていないことより,STTAの成因は再分極の心拍ごとの変化に基づくと考えられた.第2相STTAは通常5分以降に出現した.第2相STTAは常に双極電位の1心拍ごとの形状の変化,あるいは2 : 1伝導途絶を伴っていた.また,第1相STTAと異なり,STTAは心外膜側で顕著であった.さらに,第2相STTAは心室細動(VF)が発生しなかった冠閉塞では30%に出現したのに対し,VFが出現した冠閉塞では56%に出現した.【結語】虚血初期のSTTAは心室筋再分極の心拍ごとの変化に由来し,第2相のSTTAは主に虚血心筋内での心拍ごとの伝導障害に由来すると考えられ,VF発生と関連していた.