抄録
心拍変動は,自律神経の活動状態を非観血的に評価する有用な方法であるが,接触型電極を長時間接着する不快感や拘束感が生じる.一方,マイクロ波は着衣下の非接触状態で干渉測定により反射波の位相変化,すなわち体表面の微小動を計測できる.この原理を応用して,われわれは健常者に接触型電極を用いた心電計を装着してマイクロ波を照射し,暗算負荷試験前後の心拍変動解析を両者で比較検討した.実際のマイクロ波反射計の送受信アンテナは,背中・大腿部・側頭部に対して設置した.マイクロ波反射波は,必要に応じて相互相関処理を繰り返して体動のアーチファクトを除去し,オートゲインコントロール付加の位相検出システムとテンプレート相関方式を用いて,心拍のピークシグナルを検出した.両者のLF/HF値のトレンドグラムはよく一致し,暗算負荷試験前後で高度の正の相関を示した(y=0.90504 ・x,r=0.769,p<0.001).今後さらなるパソコン化やモバイル化が進めば,運転中のドライバーや乳児・高齢者のモニタリングなどへの応用が期待される.