2019 年 39 巻 4 号 p. 289-296
症例は58歳男性.症候性の顕性WPW症候群に対して,高周波カテーテルアブレーションを施行した.デルタ波の極性はV1誘導で陰性,QSパターンを示し,副伝導路は中隔起源が推定された.His束近傍の右側中中隔において副伝導路の順伝導,逆伝導ともに早期性が最も良好であり,同部位で低出力から通電を開始した.通電開始直後に副伝導路は離断されたが,通電部位の局所電位に明瞭なHis束電位が捉えられており,一過性に房室ブロックを生じた.通電を止めると房室伝導は再開したが,副伝導路も再発し1st sessionでの治療は断念した.経過観察中に臨床的に心房細動(AF with preexitation)を認め,クライオアブレーションによる2nd sessionを実施した.4本の肺静脈をクライオバルーンで隔離後,クライオカテーテルを用いて1st session時と同じ右側中中隔で,副伝導路に対して冷凍凝固を実施した.結果,房室伝導に障害を与えることなく,副伝導路の根治に成功した.高周波通電では房室ブロックを生じるHis束近傍右側中中隔の副伝導路に,クライオアブレーションが奏功した例を経験したので,報告する.