心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
総説
肺サルコイドーシスにおける心室遅延電位の検出および臨床的意義
淀川 顕司岩崎 雄樹清水 渉
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 40 巻 2 号 p. 69-74

詳細
抄録

心サルコイドーシスは脚ブロックや房室ブロックなどの伝導障害で発症することが多く,伝導異常を鋭敏に反映する加算平均心電図がその早期診断に有用である可能性がある.われわれは心電図正常の肺サルコイドーシス患者74例で加算平均心電図を記録分析し,その後の心イベントとの関連性を解析した.結果,29名(39.2%)が加算平均心電図においてLP陽性であった.平均9.8年のフォローアップ期間でLP陽性例のうち8例が心イベントを発症した(完全房室ブロック4例,心室頻拍2例,心不全2例).一方,心室遅延電位陰性群では1例のみ(心不全)であった.多変量解析の結果,LPのみが独立した危険因子であった(ハザード比9.66,95%信頼区間1.20–78.01,p=0.033).Kaplan-Meier法を用いた解析では,LP陽性患者は陰性患者に比し有意に心イベントを起こしやすい(log-lank,p=0.004)ことが判明した.以上の結果から,肺サルコイドーシスにおける心室遅延電位は,心イベントの早期予測に有用である可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2008, Japan Science and Technology Agency
前の記事 次の記事
feedback
Top