2025 年 45 巻 4 号 p. 243-256
糖尿病患者の心臓突然死の原因として糖尿病性心筋症による細胞内カルシウムハンドリング異常の関与が報告されている.一方,糖尿病治療薬である選択的SGLT2阻害薬の心保護作用が注目され,現在では心不全の標準治療薬の一つとなった.さらに,選択的SGLT2阻害薬には心臓突然死を抑制する効果も報告されている.しかし,その作用機序については一定の見解が得られていない.本総説ではわれわれが行った糖尿病モデルマウスにおける実験から得られた,細胞内カルシウムハンドリング異常と心室不整脈発生の関連および,選択的SGLT2阻害薬の細胞内カルシウムハンドリング改善による心室不整脈の抑制効果について紹介する.本研究によって選択的SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが細胞内カルシウムハンドリング制御蛋白のO結合型Nアセチルグルコサミンによる翻訳後修飾を抑制し,カルシウムハンドリング異常を改善することが心室不整脈の抑制につながることが示唆された.