2025 年 45 巻 4 号 p. 257-267
心房細動に対するカテーテルアブレーションは,患者のQuality of Life(QoL)や,生命予後の改善に寄与する.患者の症状が顕性で,治療の成功率が高い発作性心房細動は,一般的にカテーテルアブレーションの良い適応とされるが,持続時間の違いによる心房細動患者の臨床転帰やカテーテルアブレーションの効果の違いについては報告が乏しい.本研究では,発作性または持続性心房細動患者における,生命予後の違いを検討するとともに,カテーテルアブレーションの効果を比較解析した.多施設共同前向きコホートを用いて,2,788名の心房細動患者(発作性52%,持続性48%)の2年間の追跡データを解析した.追跡期間中,持続性心房細動において有意に心血管イベント(全死亡,心不全入院,脳卒中,出血事象の複合)の頻度が高く,持続性心房細動は独立した予後不良因子であることが示された.また,AFEQTスコアを用いた患者のQoLの治療反応性の評価では,発作性心房細動と比較して持続性心房細動において有意に改善が乏しく,持続性心房細動は患者のQoLにおいても予後不良因子であることが示された.カテーテルアブレーションの効果を比較するために,傾向スコアで患者背景を調整した,カテーテルアブレーション施行群と薬物治療群で有害事象の頻度を,心房細動のタイプ別に評価した.発作性心房細動において,カテーテルアブレーション施行群で有意に心血管イベントが抑制されることが示された一方,持続性心房細動においては同様の傾向が認められたものの,統計学的有意差は示されなかった.発作性心房細動と比較して心血管リスクが高い持続性心房細動は治療介入の必要性の高い患者集団であると考えられたが,カテーテルアブレーションを行う際の患者選択においては,慎重な検討の必要性が示唆された.