2026 年 46 巻 2 号 p. 161-164
心房細動(AF)の早期発見とリスク層別化において,心電図のP波解析は極めて重要な役割を担っている.近年,P波幅の延長や二相性変化(advanced interatrial blockなど)といった古典的な指標に加え,人工知能(AI)を用いた深層学習モデルが革新をもたらしている.AIは洞調律時の微細なP波の変化から,AFの既往や将来の新規発症を高精度に予測可能とした.しかし,AIの予測精度と臨床的な意思決定の間には乖離が存在し,AI判断のブラックボックス性や医師の信頼感が課題となっている.さらに,AIによるスクリーニングが実際の患者予後改善に直結するかを検証する実装科学(implementation science)の視点も不可欠である.本原稿では,P波研究の変遷を概観しつつ,AI技術の臨床応用における現状の到達点と,将来に向けた課題・展望について論じる.