2026 年 46 巻 2 号 p. 157-160
心電図P波の読影は,形態を経験で読み解く文系的な診断文化の中で発展してきた.山の形やノッチに意味を見いだす文系的アプローチは,P波に宿る病態の物語を伝えてきた.一方,近年はデジタル解析やAIの進展により,P波幅を客観的に評価する理系的アプローチが注目されている.12誘導心電図における最大P波幅(Pmax)は,左房容積や心房伝導時間と相関し,解剖学的のみならず電気的リモデリングを反映する指標である.疫学研究および臨床研究により,Pmax延長は新規心房細動発症や心血管イベント,心血管死亡リスクの増加と関連し,特に140ms以上が実臨床で有用な閾値となる可能性が示されている.P波幅は心房リモデリングを可視化するサロゲートマーカーとして,心血管リスク層別化への応用が期待される.