抄録
抗不整脈薬の使用に際しては, 催不整脈作用 (proarrhythmic effect, 以下PE) も重要である.今回我々は持続型心室頻拍 (以下VT) 27例において, PEの頻度と臨床的特徴を電気生理学的検査 (以下EPS) 所見から検討した.このうち18例は陳旧性心筋梗塞, 不整脈源性右室異形成, 心筋症などの基礎心疾患を認め, 9例では認めなかった.VTのQRS波形は単一波形16例, pleomorphism11例であった.PEとして, 頻拍周期短縮は27例中4例 (14.8%) および92回のEPS中6回 (6.5%) , 誘発モード簡易化は9例 (33.3%) および18回 (19.6%) , incessant formは4例 (14.8%) および4回 (4.3%) , 持続型への移行は3例 (11.1%) および7回 (7.6%) , 除細動必要は2例 (7.4%) および2回 (2.2%) で認めた.2個以上のPEを重複した例は8例で, 全例に誘発モードの簡易化を認めた.全体では27例中13例 (48.0%) , 92回中30回 (32.6%) にPEを認め, 基礎心疾患を持つ例, pleomorphism例に多い傾向があった.