抄録
微弱高周波成分である心室遅延電位 (LP) は, 一般に加算平均法による検出が行なわれているが, 加算に伴う位相ずれや, 濾波に伴うtransientの影響により, LPの検出を不明瞭とする可能性がある.本研究では心電信号中の原波形から強度の大きい低周波成分を除去し, さらにsmoothingを加えることにより, 微弱高周波成分であるLPを検出する新しい記録方法 (subtraction法) を開発し, 加算平均法と比較検討した.両者の方法とも, 健常群6例はLP陰性で, ARVD群3例はLP陽性であった.DCM群では, LP陽性はともに8例中5例 (62.5%) であったが, 両者の一致率は75%であった.Subtraction法は原理的にtransientや位相ずれの影響が極めて少なく, 雑音が少なければ加算なしか, 少数回の加算で微弱高周波成分の検出が可能であった.さらに, 本法によりQRS波内部の高周波成分も検出され, 今後の発展が期待された.