抄録
加算平均心電図 (SAE) を使用し, 急性心筋梗塞に対する早期再灌流療法と心室遅延電位 (LP) の関係を急性期と慢性期で検討した.早期再灌流療法 (direct PTCA29例, PTCR4例) 施行群 (A群) 33例と非施行群 (B群) 31例を対象にSAEを施行し, 両群間のLP検出率の差を検討した.さらにLP検出率と再灌流までの時間, 左室駆出率 (EF) , 責任冠動脈および持続性心室頻拍 (sVT) との関連等を検討した.LPの検出率は急性期, 慢性期ともにA群が低値で, 発症4時間以内に再灌流した16例は, 左主幹部閉塞の1例を除き慢性期はすべてLP陰性であった.EFはB群に比べA群が有意に良好であった (p<0.05) .責任冠動脈別のLP検出率は右冠動脈, 左前下行枝ともにA群が低値であった.一方, 急性期, 慢性期ともにsVTを認めた例には高率にLPを検出した.SAEは急性心筋梗塞発症早期に行った再灌流療法の効果判定の一つとしても有用であると考えられた.