心電図
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心電図自動解析装置の不整脈診断性能
宮原 英夫白鷹 増男池田 憲昭
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1990 年 10 巻 6 号 p. 797-806

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抄録
散発する上室性あるいは心室性期外収縮や心房細動に比べると, 多発性の心室性期外収縮や, 第2度房室ブロック, 第3度房室ブロックなどは臨床の場で経験される機会が少なく, それらに対する心電図自動解析装置の診断能力が十分に調べられていない.私たちは, 変調副調律モデルをコンピュータに乗せて, これらの不整脈時系列を発生する装置を製作し, その出力信号に対して, 装置がどのように応答するか, 診断ステートメントを中心に調べてみた.対象はわが国で普及している6種を選んだ.テストに使用した時系列は, 正常洞調律, 第1度, 第2度, 第3度房室ブロック, 心室性2段脈, 心室性3段脈, 心室性副調律などである.正常洞調律, 第1度房室ブロックに対しては, 全部の装置が, 臨床医の下した診断と一致する結果を, 再現性良く与えた.しかしながら, それら以外の不整脈時系列に対しては, 入力した時系列に対応する診断カテゴリー名を装置が用意しているにもかかわらず, しばしば別の診断カテゴリー名が与えられた.これらの結果から, 臨床的に発生頻度の低い不整脈に対する心電図自動解析装置の診断性能を調べる一手段として, 私たちの装置を用いる繰り返しテストは有用であると考えられた.また, この方式によって, 各装置の信号処理の特徴が, 手軽にかつ高い再現性をもって示されるので, 診断論理の検討にも利用できるのではないかと考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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