抄録
不整脈源性右室異形成〔Arrhythmogenic right ventricular dysplasia (ARVD) 〕17例の心室頻拍 (VT) の電気生理学的特徴, 治療および長期予後を検討した.23種類の自然発生VTの発生起源は, 右室流入路下壁および前壁が多く (計20種類) , また右脚ブロック型を呈した2種類のVTの一つは左室中部後壁が起源であった.自然発生VTの停止薬としては, クラスI群抗不整脈薬 (特にアジマリン, メキシレチン) が有効であったのに対し, プロプラノロール, ベラパミルは無効であった.長期予後については, 電気生理学的薬効評価が可能であった11例中7例 (64%) で有効な予防薬を認めたが, このうち4例でVTの再発を認めた.しかし最終的に9例は, クラスI群とII群 (βブロッカー) を主とした抗不整脈薬によりVTの予防が可能であり, 死亡例, 心不全症状を呈した例はなかった.内科的治療に抵抗し外科的治療となった残りの8例中7例は, 術後VTのコントロールが可能となり, 内科的治療に抵抗性のVTに対しては, 外科的治療を考慮すべきと考えられた.