リエントリーを機序とする持続型心室頻拍 (VT) で, VTの起源と考えられる部位でのペーシングで, VT移行時に機能性ブロックがみられた興味ある症例について報告する.VT中右室流出路で異常電位が記録され, VTの起源と考えられた.同部位での洞調律時のペーシングでVTとは全く異なるQRS波形が得られ, QRS波形は刺激スパイク直後から始まっていた.刺激中にVTに移行し, 刺激スパイクとQRS波形の間隔は125msecに延長した.VT移行後は刺激頻度の増加にもかかわらず, QRS波形に変化なく, 刺激中止後の連結期はほぼVT周期に一致していた.洞調律時でのペーシングでは, 同部位から広がっていた興奮波が, VT開始とともにリエントリー回路の緩徐伝導路に沿ってのみ興奮波が伝播され, QRS波形の変化をきたしたと考えられ.この部位でVT中のみ機能性ブロックが成立していると考えられた.