心電図
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房室結節二重伝導路を合併し, 2種類の頻拍発作と興味ある頻拍誘発様式を示した潜在性WPW症候群の1例
長野 公昭山門 徹角田 裕林 毅磨大久保 節也浜田 正行小西 得司中野 赳藤岡 博文
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1991 年 11 巻 4 号 p. 453-461

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抄録
房室結節二重伝導路 (DAVNP) は, 発作性上室性頻拍 (PSVT) を示さない症例においてもしばしば証明される電気生理現象であり, WPW症候群においてもDAVNPの合併はまれではないと思われる.そしてこの両者が合併する場合, 種々の回帰性頻拍が出現する可能性があるが, 房室結節 (slow pathway (SP) あるいはfast pathway (FP) ) を順行しKent束を逆行する房室回帰性頻拍 (AVRT) が一般的で, Kent束の関与しない房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) は少ない.また, DAVNPが頻拍の誘発と維持にどのように作用しているかを詳細に論じた報告も少ない.今回我々は, 2種類のPSVTが自然発作として記録され, その機序がAVNRTとAVRTであったDAVNPを伴う潜在性WPW症候群を経験し, しかもその誘発機序に興味深い所見を認めたので, WPW症候群に合併したDAVNPが頻拍の誘発と維持にどのようにかかわっているのかを過去の報告例と対比, 検討して報告する.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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