心電図
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ヒス束内ブロック例におけるヒス束ペーシングの臨床的意義
住吉 正孝中田 八洲郎戸叶 隆司大野 安彦久岡 英彦小倉 俊介中里 祐二山口 洋
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1992 年 12 巻 3 号 p. 277-283

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抄録
ヒス束内ブロック (BHB) 例における遠位ヒス束ペーシング (HB-P) の意義につき検討した.対象は高度および完全房室ブロックでHB-Pにより補充収縮と同一のQRS波形が得られた10例である.このうち, 同時に記録した捕捉収縮が右脚ブロック型もしくは左軸偏位を示した3例で, HB-Pにより正常QRS波形が得られ, その機序としてヒス束内機能的縦解離が示唆された.また, 補充収縮のH2-V時間とHB-P時のペーシングスパイクから心室興奮までの時間との関係では, 両者が一致したのは3例のみで, その他の例では±5から20msecの差を認めた.その中の1例では, HB-Pにより2種類の補充収縮と同一波形が得られ, 補充収縮がともにヒス東起源であることが確認された.ヒス東内の高度および完全房室ブロックにおけるHB-Pは, ヒス束内機能的縦解離の診断など, ヒス束の伝導性の評価に有用な方法である.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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