抄録
特発性心室頻拍 (IVT) 14例を対象とし, これを持続型 (S群; 10例) , 非持続型 (NS群; 4例) に分けて, 安静時およびVT中の心電図, VTの運動誘発性, プログラム電気刺激誘発性, I・II・IV群抗不整脈薬の有効1生について比較検討した.安静時心電図におけるST-T変化, VT中のQRS波形・QRS幅において両群間に差がみられたが, 運動誘発性はともに乏しかった.電気生理学的検査での電気刺激によるVT誘発性はS群で高率であった.右室早期刺激間隔と誘発された頻拍の第1拍目あるいは自然発作時のVTと同一波形のrepetitive ventricular response (RVR) までの間隔との関係は多くが逆相関を示し, その頻度は両群間に差がなかった.薬剤効果では, Ia・IV群薬が高い有効性を示したが, 両群間に差はみられなかった.両群ともにその成因として主にリエントリーが考えられたが, 一部triggered activityの関与も考えられた.また, S・NS群は異なった臨床像を呈すると考えられた.