心電図
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Holter心電図におけるST下降の新しい評価法
白井 徹郎末武 裕美子井上 清
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1992 年 12 巻 6 号 p. 732-738

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抄録

Holter心電図にて認められるST下降が虚血性か否かを鑑別するための新しい方法につき検討した.対象は近接した時期にHolterおよびtreadmill負荷心電図, CAGを施行し得た27例である.全例Holter心電図では従来の虚血性とする1mm以上かつ1分間以上持続する水平型あるいは下降型ST下降を認め, treadmill負荷にても有意なST下降を認めた.ST下降の評価は心拍数とST下降レベルの関係の経時的変化から得られるHR-STループの回転方向により行った.症状の有無にかかわらず14例は時計方向回転 (CR) , 13例は反時計方向回転 (CCR) を示した.CRを示した14例は, 全例treadmill負荷時にもCRを示し, CAG上有意狭窄病変を有していた.一方, CCRを示した13例中11例ではtreadmill負荷時にもCCRとなり, CAG上有意狭窄は認められなかった.
HR-STループは, Hotter心電図におけるST下降が虚血性か否かの鑑別に有用と考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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