1992 年 12 巻 6 号 p. 739-745
雄Sprague-Dawleyラットを用いて, 心筋梗塞発症前の短時間の心筋虚血 (preconditioning) が心筋梗塞急性期の心室性不整脈を抑制することをすでに報告した.この抗不整脈機序に, adenosineおよびprostaglandinsが関与しているか否かを検討した.Adenosine reoeptorをブロックするためaminophylline (4mg/kg) を, cyclooxygenaseをブロックするためaspirin (4mg/kg) を前投与して, preconditioningの抗不整脈作用の変化を観察した.Adenosine receptorをブロック後も抗不整脈作用は変化なかったのに対し, cyclooxygenaseをブロックした後, 抗不整脈作用は消失した.したがって, preconditioningの抗不整脈作用機序にはprostaglandinsが関与していると考えられる