心電図
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心室遅延電位の体表面分布―加算平均心電図のマッピングによる検討―
(II) 急性心筋梗塞症について
加藤 千雄菱田 仁近松 均嶋地 健可児 篤野場 万司安井 直松山 裕宇渡辺 佳彦水野 康
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1993 年 13 巻 5 号 p. 674-684

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抄録
急性心筋梗塞症 (AMI) を対象に, 発症当日より胸背部28単極誘導点から加算平均心電図 (SAE) を経時的に記録し, 既報の独自の体表面分布図 (DR map) を描き, その経時的変化を検討した.DR mapは経時的に変化し, AMI発症後1カ月以降に持続性心室頻拍 (SVT) を発症した例と, 心室頻拍を認めなかった例の違いは, 発症第3病日から第2週ころを境にその差が明瞭となり, SVT例では特徴的所見 (大きな極大と, 正領域に囲まれた狭い負領域) を高頻度に認めた.この間にリエントリー回路の成立に必要なcritical STOW conduction zoneが造られるものと思われ, これは従来のin vivoおよびin vivoの実験結果に近似していた.
DR map法を用いてSAEの体表面分布を, AMl発症後より経時的に記録, 検討することにより, 心筋梗塞に伴うSVTの電気生理学的発生基盤の成立時期を非侵襲的に推定し得たと考えた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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