2020 年 27 巻 1 号 p. 62-66
リバース型人工肩関節(Reverse Shoulder Arthroplasty: 以下RSA)を施行した患者のリーチ課題を通じて,RSA患者の肩関節に生じる角加速度の構成要素を定量化し健常者と比較することを目的として検討した。RSA患者5名(75.0±4.2歳),術後経過期間:11.7 ± 4.9ヶ月を対象としてリーチ動作についてInduced acceleration analysisで分析した結果,若年健常者5名(21±0.9歳)と比較して肩関節筋に由来する角加速度は動作の正規化した動作課題の50%付近まで高い値を示した。すなわち,RSA患者は肘関節セグメントから生じる受動的な力の利用効率が低下し,肩関節に依存した動作戦略を行っていたことが示唆された。