心電図
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心室頻拍術後に形成された緩徐伝導部位の興奮伝導様式を検討した催不整脈性右室異形成の一例
内藤 直木相沢 義房池主 雅臣宮島 武文草野 頼子田村 真庭野 慎一柴田 昭
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1994 年 14 巻 3 号 p. 189-198

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抄録

催不整脈性右室異形成による心室頻拍 (VT) を認めた59歳の男性に対し頻拍起源を切除し, 5年間発作を認めなかった.今回めまいが出現しVTの再発の有無を検討するため電気生理検査を行なった.VTはプログラム刺激で誘発されなかった.心電図上QRS波の後半に遅れて認めた波形に一致する緩徐伝導部位を心内膜マッピングにより右室自由壁下方に同定した.この遅延電位は術前に認められず, 手術操作により形成されたと考えられた.緩徐伝導部位の伝導様式は急速反応型を示し, プロカインアミド (PA) により刺激からこの電位まで, およびこの部位からの刺激の延長は, 正常心筋における伝導時間に比し有意に大であった (p<0.01) .さらにPAは緩徐伝導部位を介する伝導時間には方向により差を示した (p<0, 01) .緩徐伝導部位へのPAのより選択的な作用の証明は, VTにおける緩徐伝導の理解の一助になると思われ報告した.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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